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本物の美とは何か。 鑑賞を目的とした美術や工藝品の中に、個人性がその首座を占めるようになって久しい。殊に工藝品は、もとは日常生活における必需品としての機能と、その装飾による二つの美が同居していた。 明治以降、日本は近代化の名のもとに西欧文明を無批判のままに導入した。美術の領域においても、作家が個性を前面に出してその美を絵画や彫刻、そして工藝で追究する考え方が、今日においては最も一般的な概念ともなっている。 その結果、日本の美はそれ以前のものと、それ以後のものとに分離し、事実、前者は殆どが無名の、また無銘の品々に、後者はその個人の美術品のみがますます特化して行くことになる。 藝術という今日の概念が、ただ個人性を主張するものとして、今後の日本の伝統文化に影響を与え続けて行くともなれば、我々は日本の美の本質でさえも、このまま崩壊の一途を辿るといった危惧も持たざるを得ないのである。 この現代において、「九つの音色」は確かに個人性が主となる作家の集まりである。そしてそれぞれに自らの主張を造形という手段によって具体化しているのである。またこの九つの現象には、その豊かな伝統によって保証を受け、新しい創造へと向かうことに決して躊躇することがないのである。 このようにして、「どのように生きるか」は個々の問題としても、「どのような日本にしたいか」が、「九つの音色」の最大のテーマとなり、むしろ日本独自の藝術の在り方というものを模索することが、この集まりとしては重要な問題となっているのである。 「九つの音色」が、それぞれの仕事を通して、あるいはそれぞれの主張を尊重して行くことによって、「未来をデザインする」というのも、この集まりならではの存在意義を示すことになるのではないだろうか。
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