わたしたちの生活にある、さまざまなもの。
どれもこれも、いろんな素材でできています。
科学技術の発達によって、ありがたいことに、安価で使い勝手がよく、質のよいものを簡単に手に入れることができるようになりました。
そのような便利な物がたくさん出揃った今の世の中で、あえて動物の「毛」と「革」にこだわったものづくりをしたいと思っています。
「羊毛」
羊の毛はとてもおもしろい素材です。
毛刈りしたばかりの羊毛は、脂まみれでベトベト。
洗って汚れや油をとり、そのあと梳かしてゴミを取り除くときれいな毛になります。
そのあと、さまざまな色に染めて、紡いで糸にしたり、フェルトにしたり。
羊というと、白いモコモコしたフォルムをイメージする方も多いと思いますが、実際には焦茶やグレーの羊もいたり、いろいろです。
毛もフワフワだったり、クリクリだったり、ゴワゴワだったり。
ボンボンと弾力性があったり、クタっとしてなめらかだったり。
実に多種多様な品種があります。
どんな羊を選ぶかで、出来上がる製品の手触りや風合いも変わります。
ゼロから手をかければ、世界でひとつだけの楽しいものづくりができるのです。
「革」
革も同じく、とても魅力的な素材です。
革は、動物を食肉として加工したときに出る副産物です。
革素材を得るために、動物から命をいただいているわけではありません。
昨今は世界的にも動物愛護の視点から、革製品をさける向きもあるかと思います。
(フランス在住の友人からもそんな話を聞きました)
しかし、動物の命をあますことなくありがたくいただき、生活のなかで役立てていくことも、ひとつ、地球にやさしい行動なのではないかと思っています。
革ももちろん、動物の種類が違えば質感も変わります。
そして、同じ動物、たとえば牛だとしても、子牛か成牛か成育の段階によって、まったく別の素材となります。
動物の革は、成長過程ででるシワや生きていくなかでできた傷があり、体の部位によって伸びやすい場所があったり、硬かったり柔らかかったり。
1枚の革をみても、決して均一なものではありません。
合皮は傷やシワといった部分がなく、合理的なものづくりには扱いやすいものかもしれません。
しかし、使い続けるほどに出てくる味のある風合いは、合皮にはなく、長く使い続けられるのは動物の革だと思っています。
革はなめし方による違いもあります。
化学薬品をつかったクロムなめし、植物由来のタンニンなめし。
KOKONOTSUでは使いこまれるほどに、色艶の魅力が増していく、植物タンニンなめしの革の風合いが好きで製品に使用しています。
大量生産のなかでは、画一的なものが増える傾向にあると思います。
たくさんの人に受け入れられるものづくりには、シンプルなデザインが好まれるかもしれません。
しかし、せっかく少量での生産でものづくりをしているわけですから、KOKONOTSUでは、あまり巷では見ないもの、出回らないものをあえてつくりたいなと考えております。
動物の命をまるごといただき、ひとつとして同じものはない生地、素材で、手元にあると心地よいと感じるものづくりを大切にしていきます。